• テキストサイズ

〜宵の中、蜜に酔う〜 《短編集》R18

第5章 車内エッチ





「はぁ〜〜、疲れたぁぁぁ」



大会を無事終えた私達は、地元に帰る為バスに乗り込む。

このバスは私達専用のバスで、顧問の先生と部員以外の乗客は居ない。

つまり、騒ぎ放題だ!


大会では、なんと二位にまで上り詰めたが、決勝戦では惜しくも敗退。しかし、全力を出してここまで来れたのだ。天敵の学校にも勝てた。

そのおかげで気持ちは軽い。進路に響くような重要な大会でもなかった為、落ち込むのはその場きりで、今は二位になれた嬉しさで皆テンションが高い。



出発直後はお菓子を食べたり世間話…下ネタで盛り上がったりもしたけど、半ば辺りまで来ると、皆疲れで眠ってしまった。

勿論私も寝ていた。なにせ、伊織とのセックスのせいで、明け方まで起きていたのだ。試合中も睡魔が半端なかった。


しかし、起こされたのだ。伊織に!




「ん、う〜ん……、ん?」


視線を感じてうっすらと瞳を開けると、伊織がこちらをじっと見ている。



「ふああぁ…、何?」


大きな欠伸をして用事を聞くと、伊織は何でもないと言って前を向いてしまった。



「…ねぇ?昨日…いや、今朝のあれ……凄かったねぇ?」


少しからかってみようと思い、耳元でボソリと呟く。


「今朝…?なんかしましたっけ。」


伊織がきょとんとして首を傾げる。


「えぇ?覚えてないの〜?ほら、二人で旅館の中庭で…」


伊織は目を瞑って考え込む。そして、謝った。


「すみません、俺、睡眠障害持ってるじゃないですか。それのせいか、夜中勝手に動いたり、記憶が無くなることあるみたいで……」



「あ……、そ…なんだ……」



一気に心が沈む。

そっか…伊織の記憶には無いんだ…。私とシた記憶が…。

……もしかしたら、あの時の伊織も正気じゃなくて、その病気のせいで…?



そう考えた途端、悲しくなった。


人に自分を忘れられるって……こんなに悲しくなるんだ…。


/ 86ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp