第5章 夏合宿
真琴side
「ほら、洋一!ちゃんとやってよ!」
「真琴先輩、ここ教えてください!」
「沢村!お前には俺が教えてやるよ。」
「なんでだよ!御幸一也より真琴先輩がいい!」
「降谷くん、起きてー!」
なぜ今こんなことになっているかというと…話は昨日の終業式に戻るーー
私は部活に行く前の洋一を捕まえて話していた。
「洋一、期末テストやばかったんだって?おばさん心配してたよ。」
「ヒャハハ♪大丈夫だって!」
「赤点ギリセーフのくせに?夏休みの宿題もいっぱい出たしね~」
「うっせーな!」
「赤点で補習なんてなったら部活に出れなくなるよ?」
「………」
「おばさんにも頼まれちゃったし、夏休み一緒に宿題やろうよー」
「えぇーー!真琴さんが宿題見せてくれればーー」
「今のは聞きづてならないわね?倉持くん。」
「高島先生!?」
「それなら、ちょうどいいわ。」
「はい!?」
「明日からの青道野球部の夏合宿の家庭教師をお願いするわ。」
「えーーっ!?無理です!私バスケ部ですし、私も練習ありますから!」
「それは、もちろんバスケ部優先で。夜よ、夜に勉強会をしてもらうわ。」
「夜って…高島先生、男子寮ッスよ!?」
「合宿中は女子マネージャーも寮に泊まってるから大丈夫よ。2年マネとも仲いいでしょ?」
「そうですけど…やっぱり私も寮にいますし、部活もあるので…」
「大丈夫よ!私からバスケ部と女子寮に言っておくから。」
「いや、あの…高島先生?」
「今年は特に1年の投手二人の成績に頭を抱えてたのよ。これで合宿と地区大会と全力で挑めるわね♪」
「えっ…あの~…」
「明日いつでもいいから青心寮にいらっしゃい。」
そう言って高島先生は校舎に向かって去って行った。
「「えぇーー!?」」
「洋一…今の話マジかな?」
「たぶんマジだな…ヒャハハ♪」
そんなんで今に至る。
バスケ部も女子寮もあっさり許可が下りて、私は青心寮で生活することになった。