第5章 永遠の愛を|ナダイア
朝から不機嫌なオーラを隠さず放つ
神官長ナダイア
ナドラガ教団の神官達が、
何故か今日の神官長はお怒りだから
そっとしておこう、とコソコソ話している
本人も聞こえていたが、それ以上に
先程の目撃した出来事で
頭がいっぱいだった
愛らしい彼女が何かを持って慌てた様子で
階段を駆け上がるのを
微笑ましく遠くから見ている時だった
あと数段で上り終えるという所で
躓きこけそうになり、
たまたま通りがかった男の
神官が抱きとめるという
勿論こけた○○に非はない
そしてわざとじゃない事も分かっているが
抱きとめられた後にその男と頬を染めながら
楽しそうに話していたのだ
何を話していたのかなど聞こえるわけもなく…
そして抱きとめたのが自分じゃなく他の男……
という事に悶々としていた
やり場のない怒りで、不機嫌オーラを
依然として放つナダイア
先程の現場を見られている
とは思ってもいない彼女が
ナダイアの自室に訪ねて来た
…コンコン
「ナダイア…?今入っても大丈夫?」
「ああ、かまわん。入れ。」
ガチャ…パタン
「あのね、」
入ってきた彼女が何か喋ろうとしていたが
先程の事を思い出し、また怒りがふつふつと
こみ上げる
「何故、そんなに急いで
階段を上がる必要があったのだ。
荷物も持っているのに...
躓く事くらい予想出来んのか。」
違う…怪我がなくて良かったとか、
もっと別の事を言えばいいのに、
よりにもよってきつい言葉をぶつけてしまった
全く余裕がない事が露見してしまった
自分に飽きれながら、返事のない
○○へと視線を向ける
悲しげな顔をしていた
「ご、ごめんなさい。
さっきの見てたんだね、ナダイア。実は… …
隠してた事があって…」
そういった彼女は先程の顔とは違い、
頬が赤くなり耳も赤みを帯びている
もしや、抱きとめた名も知らぬ男と
恋仲になってるのではないのか…?
だから、私と別れたいと伝えに来たのだろうか
落ち込むナダイヤ
そんなナダイアに気づいていないのか、
彼女は話を続ける