第8章 綺麗な花を君に|マゼラ
冒険の途中
マゼラと出会い、彼と話しているうちに
彼の魅力に惹かれていった。
でも彼には…
「マゼラ船長、今日も来たよ。
元気にしてた?」
マゼラが驚きながら、それまで手に持っていた何かを
急いで背中側に隠す
でも見えてしまった
マゼラの好きなマリーヌ神像の写真が…
「…!
な、何だ?今日も来たんだな」
そう、彼はマリーヌ神像を愛してやまないのだ
だから私が彼を好きになって、いくら待てど
お互いを好きになる可能性などゼロなんだと
現実は無情にもそれを突き付けてくる
「うん… …。そういえばね、
今日お花を摘んできたんだよ。
これを船に飾れば、いいかもと思って…。」
何も気づかなかったかのように
色とりどりの花をマゼラに渡す
「わざわざ摘んでくれたのか、ありがとよ。
優しいな、○○は」
ヨォーホォー♪と嬉しそうに花を持っているマゼラ
そんな姿を見て、ふふっと微笑むが
さっきの写真の事が頭から離れない
折角会いに来たのに…
「マゼラ船長、ごめんね。
今日はあんまり体調が良くないみたいだから、
ルシュカの宿に帰るよ。」
「○○、大丈夫か…?
船のベッドで寝てもいいぞ?」
嘘ついてごめんね、本当は体調なんて悪くない
でも今日は船長の顔を見るだけで泣きそうになる
そんなところ見せたくないし
見せてもマゼラ船長が困るだけ
だから…
「ううん、大丈夫。気を使ってくれてありがとうね。
じゃあ、また。」
そういって足早に彼の船を去る
その時に彼がどんな顔をしてるか、なんて知らなかった
泣くのを堪えながらルシュカの宿へと帰った