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貴方は私の半分〜イケメン戦国 武田信玄〜

第5章 書庫での出来事



支度部屋に向かうと昨日の女中さんたちが待ちかねていたように、早速、私を取り囲んだ

「乃々様!お待ちしておりました!」
「ささ、こちらへ」
「乃々様、中の小袖はこちらが宜しいのでは?」
「髪にはこちらの組紐を結びましょうか」

手際良く女中さんが私を着替えさせていくと、昨日、選んでもらった打掛けを羽織る
中の赤い小袖のおかげで、白い打掛けの美しさが一層引き立つ

「では、最後に紅をお引きしましょう」



最後に女中さんが仕上げの紅を引くと


「わぁ…!乃々様!!とてもお似合いです」

鈴ちゃんが興奮気味に私を鏡の前に連れて行った。
鏡に映された自分の姿を見てみる

うーん…?
こんな私でもそれなりに…姫に見える?のかな?

自分ではよくわからないけど、一応女中さんたちが皆褒めてくれるからそれなりなんだろうか?


「だ、大丈夫かな?おかしくない?」


「乃々様は髪も美しいので梳くだけでこんなに艶が出て…
肌も白く透けるようで…
越後の女子でも、このような肌の子はそういません」

ほぅ…とひとりの女中さんが溜め息混じりに言う

「そうそう。何より乃々様は姫君でおりながら、私たちのような下々の者にも声をかけてくださって…
このような愛らしい姫君おりませんわ!」

別の女中さんも賛同するように頷く


ガリ勉で髪を染めるなんてことなかったし、肌が白いのも勉強漬けで外に出る機会がなかっただけなんだけど…
こんなに褒めてもらえるなんて…なんか得した気分?!


「み、皆さんありがとうございます。」

「きっと殿方たちも驚かれますでしょうね」
「あぁ…乃々様が越後の姫君でしたら良かったのに…」
「そうだ!いっそのこと、謙信様の側室に……」
「まぁ。それはいい考えですね!」

好き勝手に話して盛り上がる女中さんたち


はっ?!謙信様の側室????

あの殺気を放つオッドアイを思い出す…

「いえいえいえ!!!それは無理かと!!!」

しかも私、絶対謙信様に嫌われてるし!!!


「そうですよね…あの女子嫌いの謙信様じゃ……無理ですよね」


私の慌てぶりを見て女中さんがそう言うと、周りにいた女中さん達も一斉に笑い頷いた。
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