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【ハリポタ】静かなる鎮魂歌【リドル】

第2章 兄妹


 そうだ、何も急ぐことは無い。時間をかけ、じっくりと2人の情報を集めよう。でなければ、自分がマグルの孤児院で育ってきたことが同じ寮の仲間にもばれてしまうかもしれない。純血主義者だけで集められた寮でそれを知られるのは、あまりにリスクが大きすぎる。
 それに、今まで築き上げてきたもの全てを失う可能性もある。リドルは2人を追うのを諦め、そのまま図書館へ向かった。

 しかし耐え切れず、大広間で夕食を取った後、談話室でくつろぎながらリドルはさりげなく黒髪の男について取りまき連中に話しを振ってみることにした。

「なあ、そう言えば昨日会った主席って誰だか知らないかい?」
「あぁ、あいつな。確か名前はグレイン――そう、コルウス・グレインって名前だっった気がする」
「でもあんまり相手にしない方が良いぜリドル。あいつは悪名高いからな」
「悪名高い?」
「そう。あいつ頭は良いけど盗みの常習犯だって話だぜ」

 確かに初めて中庭で目にした姿、そしてリドル本人さえも気づかぬうちにポケットから懐中時計を取り出し、持ち主のポケットに戻した早業は素人のものではない。
 だが何故盗みなんてしているのだろうか。立ち振る舞いはとても貧乏な生まれには見えないが。
 取り巻きはこうも付け加えた。

「それにあいつ、よく地下室にこもっては変な薬を作ってるらしい。なんでも毒薬を作っているって言う噂だぜ……」

 そこまで言って、取り巻きの1人が身震いしてみせた。
 成程、確かにあの鮮やかと言って良いほどの魔法の使い手にして、魔法薬学にまで精通しているのなら、主席になるのも頷ける。
 それにどこか人を寄せ付けない雰囲気を持っているから、あまり近寄る生徒もいないのだろう。一匹狼、と言う言葉が当てはまる男だ。
 だが、コルウスという妹には心を許しているらしい。でなければ階段から飛び降りてきた少女を優しく抱きとめるはずがない。

 他にも聞きたい事はあったが、それ以上は怪しまれるので聞かない事にした。
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