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赤い月(銀魂 神威)

第5章 おまけ


(ホームページ終了の為避難文章)

私の世界はどこにあるのだろう。
私の家族、友達はこの世に存在しないのだろうか?
だったら、なぜ私はここに在るのだろう。

地球。
この惑星はすでに宇宙人たちに食い荒らされている。
第八シェルターと同じ呈なんだ。
そして、今、私はこの星を侵略しようとしている。

「何回足止める気だ?」
空港のガラス張りの渡り廊下で、思考回路ばかりが動いてしまって、私は何度も足を止めてしまった。
さすがの阿伏兎も痺れを切らして声をかけてきた。
「ご免…」
誰に謝っているのかさっぱり分からなくなってきた。
押しつぶされるほどの重圧から、蚊の羽音ほどの小さな声で答えた。
「別に謝ってくれとは言ってないでしょう。
あの団長どこか行っちゃうんで、見失いたくないだけ」
阿伏兎は、どうやら私の心配をしてくれているようだ。
申し訳ない。
また謝りたくなってきたので、とりあえず精いっぱい笑って見せた。
阿伏兎は少し驚いた後に、いい顔してる、と言ってさびしそうに笑った。
なんだか余計に悲しくなった。

うちゅうしょくどう

二本目の通路を歩いていると、まがまがしいほど赤い提灯をぶら下げた屋台が見えてきた。
「あ、阿伏兎、那美。こっちこっちー」
巨大などんぶりを片手に、見慣れた赤毛の少年は手を振ってきた。
「空港の通路に屋台とは洒落てますな。
何があるの?」
「旬はやっぱりエーリアンのしっぽと、人間の右心室でしょう」
と、顔色変えずに言う店主の顔を、私はまじまじと見つめてしまった。
すると、間髪いれずに、
「失礼ですが、お嬢さんは、どちらからいらした?」
と聞いてきた。
「え?」
何を意図するのかさっぱりわからなくて、阿伏兎のほうを見ると何か言いたげな顔をしている。
ごめん。なにもわからない。
「ああ、この子寝起きでちょっとぼんやりしてるんだ。
とりあえず右心室もらおうかなー」
そう言って、神威は鍋から直接『それ』に箸を突き刺した。
悲鳴をあげる暇もなく引き上げたのは、たこ風のエイリアンの足だった。

久しぶりの地上食を楽しんだ後、タクシーに乗り込んだ。
その時、隣に座った神威に静かにこう言われた。
「那美、ここでは俺が指示するまでは何も話しちゃだめ」
その言葉を聞きながら、前の席で阿伏兎は声を殺して笑っていたそうな。

「どんだけ過保護なんでしょうねー…俺たち…」
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