刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第38章 夏祭り
一ヶ月に一度の審神者会議が終わり、施設の廊下を出入り口に向かって歩いていると、壁に貼られた一枚のポスターが目に留まった。
『夏祭りのお知らせ』
何でも政府主催の夏祭りが開催されるらしい。日々頑張っている審神者と刀剣への労いなんだそうで。
そのポスターを見て、今週の近侍である乱ちゃんが早くも目を輝かせて行こう行こうと私の隣ではしゃいでいる。
「ね、あるじさん!皆で行こうよ!」
「そうだねぇ、皆で行けたら楽しいだろうな…私も行きたい!」
「やったあ!ボク、あるじさんの浴衣姿見たいな」
「浴衣?ええー…私持ってないよ…?」
そう言うと、乱ちゃんは「じゃあボクが一緒に選んであげる」といって、まるで花が咲いたように明るい表情で早く本丸に帰ろうと手を引っ張り歩き出す。
お祭りなんて子供の時以来だし、ましてや審神者になってから行けるなんて思ってもみなかったので、思わず乱ちゃんと目を合わせて頬が緩んだ。
本丸までの道中、乱ちゃんは余程楽しみなのか、お祭りについてあれこれ私に聞きながら楽しそうに歩く。
本丸に着くと偶然そこに居合わせた愛染くんに夏祭りのことを早速知らせた。