第27章 反動

大倶利伽羅さんが弱気な言葉を吐くなんて…。
余程のことだと思った。

心臓がぎゅっと締め付けられて、目に涙が溢れそうになるのを必死に堪え、大倶利伽羅さんの背中に手を回し強く抱き締めた。

暫く何も発せず、お互いの体温を確かめるかのように抱き合った。こんなにも不安にさせてしまっていた。自分の不甲斐なさが巻き起こした結果だ。


「ごめん、ね…大倶利伽羅…」

「…」

「私、ずっと側にいるから…」

「…あぁ」

「ずっと、大倶利伽羅の側にいる…何処にもいかない…」

「…あぁ」


　…

　…


「…泣くな」

「な、泣いてないっ」

「泣いてる…」

「泣いて、ない…」

「…そうか」


大倶利伽羅さんは黙ったまま、愛おしむように私の涙を拭ってから瞼にキスを落とした。
私も大倶利伽羅さんの頬にキスをして抱き締めた。

大倶利伽羅さんがとても愛しい。

自然と抱き締めている手に力が籠る。
こんなにも誰かを好きになるなんて、審神者になった頃は想像もしていなかった。彼がいたから両親が亡くなった時も乗り越えられた。寂しいなんて思わなくなった。