第26章 瘴気

聞こえていないのかそうじゃないのか、制止の声も聞き届けられず、その手が止まってくれる兆しはなかった。

それどころか私の服の裾を掴み、勢いよくガバッと上にたくしあげられ、下着が露わになった。


「…ッ！！」


慌てて服を戻そうと服の裾を掴むも、そのまま手入れ部屋に並べられている布団に押し倒され、両手首をひとまとめにされて頭上に繋ぎ止められた。


「はぁっ…は、はー」


私を見下ろしている荒々しく息を吐いた大倶利伽羅さんの金の瞳が、交わった視線が…私が知っているいつもの穏やかなそれとは違って、ずっと鋭く、獲物を狙う獣のようにギラついて光っている。

そのまま両手首を繋ぎ止めたまま、倶利伽羅龍が彫られた太い腕が体を這い回り、下着越しの胸を揉むと同時に、首筋、鎖骨へと唇が、荒々しい呼吸と共に吸い付くように肌の上を辿っていく。

思わず声を漏らしてしまいそうで、ぞわぞわする感覚にひたすら耐えた。

すぐ側で寝ている五虎ちゃんが目を覚ましてしまう事だけは避けたかった。

大倶利伽羅さんはそのまま構わず体に唇を這わせ、何度もちゅうっと強く強く吸い上げ、私の素肌に沢山の痕を残していった。