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千分の一話噺

第27章 雨の後には…


6月2日

昨日までの雨も止んで、今日はすっきりと晴れたわ。
これって彼の行いが天に通じたって事かしら。

彼が何ヶ月も悩んで苦しんでたのを私はただ見守るだけだった。


でも、彼は今日の明け方、ついに叛旗を翻した。

僅かな手勢しかいない本能寺を襲い、焼き討ちしたみたい。
信長様は自刃なされたそう。

彼があれほど天下人に相応しいと言っていた信長様を討つなんて、思ってもみなかったわ。


これで彼は天下人になったの?


でも、そんな簡単にはいかないわよね。
上杉様に攻め込んでいる柴田様も、毛利様と戦っている羽柴様も謀叛と聞けばすぐに引き返して来るでしょう。
信長様の盟友徳川様もきっと黙っていないわ。

戦にかけては彼らが上。
戦ったら彼は負けてしまうでしょう。
そんなことは彼だって重々分かっているのに、何故謀叛なんて考えたのかしら?


信長様が亡くなられて、更に戦乱の世の中になっていくのね。

後の世の人達は彼を「裏切り者」と呼ぶのでしょうか?
戦乱の世に生まれたからには、天下を狙うは武士の本懐ではないでしょうか?


でも、彼はもう私の所には戻って来ないでしょう。
私は天下より、貴方の傍にいたいだけなのに。

また雨が降りそう。



end
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