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千分の一話噺

第7章 師走


予定通り。
今年も後一ヶ月、手帳のスケジュール表もこの一枚で終わる。

一年間のスケジュールを書き込んできたこの手帳も今月でお役御免だ。

乱雑に書き込まれたスケジュールは、誰にも読まれることはない。
否、読めないと言った方が良いのかも知れない。



「おい、来週の予定どうなってる?」
「ちょっと待って下さい」
社長に予定を聞かれ俺は手帳を開いた。
「火曜日と金曜日以外は大丈夫です」
「そうか、じゃあ水曜日に予定入れといてくれ」
スケジュール欄に予定を書き込み手帳を閉じようとした。

「なんだ?、そのミミズが這ったような字は!
何が書いてあるか分からないじゃないか」
手帳を覗き込んだ社長の一言。
「俺が読めれば良いんですよ」
俺が返した台詞に社長は呆れたような顔して笑った。

確かに俺でもたまに読めない字もある。
ミミズに失礼かも知れない。


来年の新しい手帳に変える時、一年間ミミズが這ったような字を書き込んだ手帳に「お疲れさん」と言ってやりたい。
そして新しい手帳には綺麗な字で書き込まれる事を祈るしかない。

祈って字が綺麗になるのなら…。



end
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