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千分の一話噺

第1章 モンブランに憧れて…


モンブラン…。
栗のクリームを山のように盛ったデザート。
私の大好物。


「ねぇねぇ…モンブラン…行かない?」
私は彼に連れて行って貰うつもりだった。
「えっ?モンブラン?
いつ行くんだよ?」

「もちろん、これからよ」
「これからぁ~!
そんな簡単に行けるわけねぇだろ!」
彼は怒ったように言った。
(何で怒ってるのかしら?)



(こいつ、何でモンブランを…)
「何よ、ダメなの?
たまには良いじゃない」
「お前なぁモンブランだぞ!
分かって…?
…モンブランに行くんだよな?」
俺は彼女に確かめた。

「そうよ、モンブラン食べによ」
「へっ?食べに?」
「駅の近くに美味しいケーキのお店が出来たのよ♪
そこのモンブランが超美味しいって♪」
彼女はウキウキしていた。
「あはは…そうね…
たまには良いよな…」
俺は一気に力が抜けた。
(…だよな
こいつがモンブランに行くわけないよな)



モンブラン…。
アルプス山脈最高峰。
登山を始めたばかりの俺には憧れの山だ。
いつか必ず…。


end
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