【金城剛士】あえてコトバにするなら【B-project】
第2章 鼓動アンビシャス.1
僕は女性の身でありながら、B-projectでTHRIVEだ。
過酷な環境とわかっていても、ここが僕の居場所なんだ。
FNA歌謡祭のリハ。
何度もスタジオで練習したからみんな綺麗に決まっていた。
「今日から新しくあなた達に専属のA&Rが着くことになったの。自己紹介よろしくね。」
「澄空 つばさですっ!よろしくお願いします。」
澄空さんは大きくぺこりと頭を下げた。
夜叉丸さんは電話をしに外に出ていった。
みんなが順番に自己紹介する中、剛士は不機嫌だ。女の子得意じゃないもんな。
「僕、阿修悠太!よろしくね〜。」
「愛染健十。健十って呼んで。」
悠太と健十は澄空さんに絡みに行っている。いつものことだけど。
「僕、透 漣。よろしくお願いします。」
「漣ちゃんはね、Bプロの二大姫と呼ばれているんだよ!漆黒姫と真紅姫。竜ちゃんと漣ちゃんね。ちなみに、王子は白王子と青王子。倫くんと和くんだよ!」
悠太が説明する。
澄空さんは目をキラキラさせて拳を握った。
「漣さん、すごくお綺麗ですもんね!!わたし、見とれてしまいました。」
「ま、我らが姫だからね。」
「健十、重い。」
健十が僕の肩に体重を乗せる。
「剛士、自己紹介。」
「こんなやつに自己紹介して意味あんのかよ。全員覚えられねーだろ。」
「ごうちん。」
「……金城剛士」
悠太に咎められるような目線を向けられて、剛士はしぶしぶ自己紹介した。
「4人揃って!THRIVEでっす!!」
そう。僕たちは4人でTHRIVE。
誰一人欠けちゃいけない、最強のチームだ。
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あのあと、今日やったリハの出演取り消しが決まった。
でもスケジュールは回るので予定通り収録。
僕たちはプロだからいつも通りのTHRIVEを発揮した。
帰りの車の中、リハの話になった。
「残念だったね〜。たくさん練習したのにね。」
「睡眠不足で荒れたお肌の責任とって欲しいね。」
健十は少し不機嫌だ。鏡をチェックしている彼の顔を覗き込んで話す。
「荒れてるように見えないけど?美意識高いよね。」
「リハがダメになったって、その練習を次のライブの糧にするだけだ。」
剛士が悠太に正論を言う。悠太はすこしむくれている。