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妖精の夢~Another Story~【気象系BL】

第6章 Lovely bouquet




「ん………。

何かいい匂いがする……」


その匂いに最初に気が付いたのは智だった。


気怠そうな躰をゆっくりと起こして、

のそのそと雅紀の隣に腰掛ける。

まだ眠たいのか…

不機嫌そうに目を擦っていて。



「珍しいだろ?」

雅紀は得意げにそう言って、

手にしていたビールを飲み干した。


香りのもとは、
窓辺に置かれた香台からで。


殺風景な部屋には似合わない香り。

ラベンダーほど

ポピュラーではないけれど、

確かに存在感がある香りだった。






「へぇ…。"イランイラン"の香りだね」


潤は立ち上がり

香台を手に取った。

ニヤリと笑い、雅紀を見つめる。


「…なかなか良いだろ?潤…」


二人はその意味が分かっているように、

ボンヤリしている智を見つめた。



「…さとちゃん」

不意にスッと伸びてきた
雅紀の手が智の頬を撫でた。


「え、何…」

そう言い掛けた時には、

既に自分の唇は
雅紀によって塞がれていた。


「っふ…ぅ…!!」

そのまま床に躰を押し倒される。

雅紀の躰がのし掛かり、

まともに抵抗することも出来なくて。


酒のせいで猛った躰が熱い。


スルリと滑り込んで来た雅紀の舌が、


智の口腔を犯す。



唾液が絡み合い、

ピチャピチャと淫らな音が響いて。


「んんっ…ふ、ぁ…」

智は苦しさに顔を歪め、

逃れようと必死に首を振った。



「いいね…その姿。 妖艶で…」

傍らでその光景を眺めていた潤は

香台を持ちベッドサイドに置いた。


その香りが

空間を濃密にしていく









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