第16章 日常7:眠れない僕と寝相の悪い彼
朝ご飯は諦めて、お昼のちょっと前にアパートを出た僕達は、朝昼兼用の牛丼(櫻井くんはメガ盛り♪)でお腹を満たしてから、バイト先でもあるレンタルショップに向かった。
普段は僕が早番で、櫻井くんが遅番…なんてことも多いけど、土曜ともなると話は別。
週末を自宅で過ごす人が多く来店するから、スタッフも増員態勢で臨むことになる。
だから週末は忙しくてやんなっちゃうけど、櫻井くんと一緒にいられる時間が長いから、それはそれで楽しみでもあるんだけどね♪
もっとも、今日は昨日の夜からずーっと一緒にいるわけだから、ちょっと新鮮味には欠けるんだけどね。
ほら、やっぱりさ、何時間ぶりに好きな人に会えた時の喜びって、ドキドキ感凄いじゃん?
それがない…って思うと、ちょっぴり残念なんだけど、そんなことよりも僕今、すーっごく眠い。
はあ…、やっぱり人間て睡眠大事なんだね?
居眠りしないようにしなきゃ…、って言ってる傍から、
「おい、寝てんじゃねぇよ(笑)」
しっかり支度を済ませた櫻井くんに、頭をコツンてされちゃったよ…
「べ、別に寝てないもん…」
「本当か? めちゃくちゃ船漕いでたけど?(笑)」
もぉ…、いつから見てたの?
恥ずかしいなぁ、もぉ…
「気、気のせいだよ…」
「そうか? ま、いいんだけどさ、仕事中に居眠りすんなよ?」
「分かってるよ…」
急に先輩口調になる櫻井くんに、僕は唇を尖らせる。
ってゆーかさ、だいたい僕の方が先輩なんだからね?
そりゃ、ちょっぴり頼りないかもだけど、僕の方が歳も上だし、バイト始めたのだって僕の方が先なんだよ?
だから、年下で後輩の櫻井くんに言われなくたって、ちゃーんと分かってるもん。
よし、ここはちょっと先輩っぽく見せなきゃ。
「ほら、もう時間だよ? 今日は忙しくなるから、ボケーッとしてる暇なんてないんだからね?」
よし決まった♪
…って思ったんだけどな…
どうやら僕には、先輩っぽく振る舞うなんて、無理みたいだ(笑)