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BERKUT【PSYCHO-PASS】

第13章 楽園事件:4


宜野座は思い出した。狡噛の資料にあった記述を。それは彼女との間の出来事で思い出せることを後になって書けるだけ書いたような、まとまりのないものの一つ。
ーとにかく飯を食わない。餓死を目論んでいた。
今でこそ餓死は望んでいないと思うが、食事を取らないのはすでに生活のリズムになりかけているのだろう。

「食べた方がいい。ここに狡噛がいれば俺や亮一より無理矢理すすめてくるんじゃないか?」

宜野座の言葉に彼女のアンバーの瞳が動いた。鋭く見える瞳だが光を放っているように見えて美しい。
は片手で食べられるようなアラカルトを適当に取って口に入れた。あまり何か食べているところを見ないのか亮一ですらその様子をじっと見ている。

「さん、良かったら狡噛さんのお話聞かせてもらえませんか?」

アンバーの瞳が今度は常守を捉えた。瞳の動きに思わず体が強ばるのは癖になってしまったのだろうか。

「常守は狡噛に随分と懐いてたからな。」

宜野座が彼女のことを補足する。常守はそんなんじゃないと訂正していたが。

「あんまり一緒にお仕事できなかったので、監視官時代はどんな人だったのかなって。」

「そんなことギノさんの方が詳しいじゃない。」

「え、まぁ…そうなんですけど。」

常守が次の言葉に迷っている。宜野座は確かに何故自分ではなく彼女に聞くのかまでは分からなかった。先輩だから聞きづらいのか、だが常守がそういうタイプとも思えない。

「朱ちゃんが聞きたいのはとそのコーガミさんって人の間にどんなことがあったか、だろ?」

亮一がフォークを振って説明する。常守は朱ちゃんと呼ばれたことにまず戸惑い、さらに詳細に説明されたことに戸惑う。

「あ、えと…」

「何も無かったけど。ご飯とか寝るところとか生活するところを貸して貰っただけ。狡噛さん殆ど家に居なかったし。」

その表情は微かに当時を懐かしんでいる。それでいて憐れんでもいる。

「一緒にいる時はどんな話をしたんですか?」

「…事情聴取。」

なんとも狡噛らしいと二人は思う。本当に資料の通りだ。彼の真面目さと熱意が変わらないのは宜野座もよく分かっている。

「でも、当時は本当に思い出せないことが多くて、思い出そうとすると混乱して、その度に狡噛さんには迷惑をかけました…。」
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