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ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編

第9章 夏の夜の話








「これ何って書いたかわかりますか?」


そんな彼に此方を見て欲しくて空中に文字を書く



「沙夜子。」


「正解!じゃあ……」


「イルミ。」


「正解です!!」



大袈裟な迄に描いたハートは無視されてしまったが彼は花火を振り回す私を真っ直ぐに見ていた


消えては咲く小さな花火


彼はふと公園の一角に目を向けた



………この公園には忘れもしないある思い出がある


私の頭に過った事と彼が不意に思い出したそれはきっと同じだろう



シューッと火を吹く花火を握ったまま悠々と歩み始めた彼の姿を黙視する


彼は公園の隅にある植え込みまで行くとまだまだ力強く輝く花火を地面に突き刺した


さながら誕生日ケーキに乗った花火みたいな状態だが私はその行動に猟奇性しか感じなかった



「…………あの、何ですかあれ」



何事も無かった様に傍に戻った彼が再び炎を灯す頃恐る恐る響いた私の声に



「なんとなく。」



彼は実に淡白に呟いただけだった



…………あの場所にはある戦士が眠っている…………



そう、果敢にも彼に挑んだ一羽のカラスだ


剥製にする、だなんて発言した彼の事なので何を考えているかさっぱりわからないが

公園の片隅で無人のまま光る花火は日常の中に異様な雰囲気を漂わせている



………………怖い………。



彼が何を考え何の目的でそうしたのかは知らないが間近に潜む恐怖を感じた私は押し黙ったまま

その内炎が消えても突き刺さったままの花火は本当に申し訳ないがそのままにしておいた







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