第17章 過保護さんと動揺

新婚旅行【長野県編】2





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私達は今とても贅沢なティータイムを堪能している


驚くべきはその標高……………


何と昨夜のゲレンデを凌ぐ2612mである

私達は今紅葉真っ盛りの千畳○カールに来ているのだ！



日本のスイスなんて謳われ、更には紅葉の美しい今がピークだ！なんて知ってしまえば来ない手は無いだろう


千畳○カールとは中央アルプス、木曽駒ヶ岳のすぐ南に位置する宝剣岳の絶景スポットであり
太古の昔、約2万年前に氷河期の氷で削り取られたお椀型の珍しい地形の事である

中央アルプスには日本を代表するカールが三ヶ所程存在するのだが私達が中でも千畳○カールを選んだ理由は

ロープウェイを降りると直ぐ目の前に千畳○カールが見えるという体力皆無の私には最高の場所だからである


私のように登山なんて自信の無い非アクティブな人間にも優しいロープウェイで行ける高山！！


それを証拠に辺りに見える人々は直ぐに羽織れる上着を持参しているものの街中と何ら変わり無い格好だ

勿論、登頂を目指す登山者の方もチラホラ見えるけれど私の様なゴツいダウンを着た真冬仕様の人物はそれこそ居なかった…………


私は昨夜の寒空体験から高い所は寒いのだと真摯に学び、命を守る為の装備を万全に整えて来た訳だが

中にヒートテックまで着込んでいる私はロープウェイ内で大量の汗をかいた

そもそも私達は登山では無く景色を眺めながらの朝食目的でやって来たのだから当然と言えば当然だが

建物に入ってしまえば想像とは相反する暑さにダウンは邪魔くさい手荷物に早変わりしてしまった




「ふー………暑いですね……！！！」



分厚いダウンを椅子に丸め置きながらパタパタと顔を仰いだ私に彼は涼やかな視線を送る




「はしゃぎ過ぎなんだよ……。」



テーブルに頬杖を付いて淡白に放つ彼だが私は未だ興奮を抑え切れずにいた