第2章 ライバル
それを見たのは本当に偶然で…
「!?きゃっ!!」
「さつき!っぶねーな。」
「…ごめん大ちゃん…ありが…」
「気ぃつけろ!ブス!」
「…なによ!こっちは素直に謝ってんのに、その言い方!…いーわよ。そっちがその気ならーフフフ。」
「…なんだよ。」
「…言っちゃおっかな。ー。」
「おい!さつき…待てよ…」
ー青峰くんって地黒だし大きくて怖い感じだけど、桃井さんといるときは何だかんだで穏やかだよねー
ーあの鋭い目つきもワイルド良いよねー
ーバスケやってるときはカッコいいしー
ー仲良くなれないかなー
ー私実は聞いちゃったんだけど…彼女のこと溺愛してるらしいよ!ーやっぱ付き合ってるんだーあの2人。ー
ーお似合いだよねー
周りの子たちの声が遠くに聞こえる。
さつきちゃんが転けそうだったから支えただけって分かってる。
周りにもやっぱりお似合いに見えるんだな。
それ以上見ていられず、その場を去ることしか出来ない。
私もさつきちゃんみたいに可愛くて、強くて、優しくて、大輝くんを支えてあげれるような力があれば…あんな風に対等に気を使わない感じに見てくれるかもしれない。
もっと付き合っていることにも自信が持てるかもしれない。
桜井くんにもらった自信なくなっちゃったな。
同じ幼なじみで…今は付き合ってるのに私たちの間には壁があるような気がする。
もし先に出会ってたのが私だったらとか
私にも選手を分析する力があったら、もっと私を見てくれたのかなとか
そんなタラレバな後ろ向きの考えがばかりが頭の中を支配してグルグルと回る。