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Emotional Reliable

第12章 エピローグ.Reliance


凛は表情に驚きの色を見せた。
次の瞬間その驚きは喜びに変わった。
汐がそう言ってくれたのが、汐の笑顔が嬉しかった。


日本に帰国してひとり鮫柄に編入して以来、ずっと孤独だった。
かつての仲間とは決別してしまい、新たな仲間にはこころを開けずにいた。
無意識のうちにこころが寂しいと叫んでいたと思う。

そんな中見つけたのは汐という存在だった。
機知に富み、気丈でよく笑う可愛らしい女の子。
彼女と共に過ごす時間...毎回わずかな時間ではあったが、孤独を忘れることが出来ていたと凛は思う。


「ばーか」

凛は汐の手に自分の手を重ねた。
白くて小さな女の子の手だ。
自分を支えてくれる汐の手だ。
そして、これからずっと握って離さないと誓った手だ。
笑顔と共存するかのようにどこか達観したような雰囲気を持つ彼女が、もうこれ以上大きな悲しみを手にすることがないように、と凛は願う。

「もう、そうだよ」

汐が愛しい。自然と笑みがこぼれた。
ゆっくりでいいから汐のことを知りたい。
俺も汐の心の居場所になりたい。
凛はそう思う。



凛の笑顔に汐は涙が出そうになった。
彼の笑顔がまぶしかった。


(そうだ、あたしが見たかったのは、この笑顔だ)

最初の頃、凛はずっと無愛想だった。
何を考えてるのか分からなくて、少し困った時もあった。
しかし、メールのやりとりや会う回数を重ねる度に、硬かった表情もだんだんとやわらかくなっていくのがわかった。
この人はどんな顔をして笑うんだろう、とずっと考えていた。

「凛くん」
「ん?」

凛が顔を寄せる。
さっきの笑顔...笑うとキツネ目になるところ、上がった口角から覗く歯がギザギザの鮫歯なところ。
どれをとっても汐にとってとても愛しいものだった。

「好きだよ」
大好き。凛から教えてもらった感情だ。
17年生きてきて初めて味わった感情。
この人のことが好き、と心から言える存在が今自分の目の前にいる。

汐は凛の瞳を見つめた。
初めて真正面から見た時まるで射抜かれたように何も言えなくなったルビーのように美しい赤。
汐は凛の瞳が好きだった。


凛の右手が汐の頬に触れた。
すべすべとやわらかな感触を確かめるように優しく撫でる。

汐は思わず目を閉じた。
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