第1章 離れる、なんて。 an.ver
幸せ、だからこそ手を離す方法がある。
これ以上依存して傷つかないように。
失ってしまってから後悔しないように。
賢い方法だよね。
自分で心を決めてから、お別れ出来るんだから。
そっちの方が向こうから離れていくよりずっと楽に決まってる。
そう、なんだけど。
そうおもうけど。
きっと、俺には無理だろうなぁ。
この人の手を離すのは。
「かず…かーず。」
「ん…」
閉じていた目をゆっくりと開く。
目の前には、優しく、でも余裕のない表情。
額には汗が光って、暖かさのある瞳の奥に欲の炎が見える。
俺の上でゆるゆると動く相葉さん。
繋がった部分から、
体の奥から、
見つめられた瞳から、
いじらしいほどゆっくりと快感が与えられる。
口を開けば甘い声が出てきてしまうのが恥ずかしくて、
目の前に大好きな人の、俺にしか見せない表情があるのがとっても嬉しいけどやっぱ恥ずかしくて、
ぎゅっとつむっていた目も口も
相葉さんの声と
唇をなぞる指で
いとも簡単に開いてしまう。