第2章 レッドアイ
その時入り口の方で騒ぎが起こった。
「てやんでぇ、バーロー!ちくしょう!何で入れねぇんだよ!」
「取引を前提とした入店は、お断りしております。お引き取りください」
「お前にも分けてやるからよ」
「いりません。買収しようとしても、無駄です。お帰りください」
「てやんでぇ!殺すぞ、バーロー!」
「どうぞ、ご自由に」
「言ったな、バーロー!やっちまえ、てやんでぇ!」
「おーっと、待った」
止めに入ったのは、おそ松だった。
「お前、何?俺たちのシマで、何好き勝手しようとしてんの?」
「げ、松野ファミリーの長男!」
「おそ松。よろー!」
「げ!松野ファミリー、お前らの縄張りかよ…。しゃあねぇ。帰んぞ、バーロー」
小男は帰って行った。
「ありがとうございます」
オーナーが頭を下げる。
「いいって、いいって。それよりここ、気に入ったからさ、これからも使わせて欲しいんだけど」
「はい、あなた方の噂は、伺っております。闇の取引は一切しない、ヤクは使わない。我々にとってあなた方は、ありがたい存在です。一番いい場所をお取りします」
オーナーが用意してくれた席は、店全体が見渡せる場所だった。
「おー、いいね。あんがと」
「予約席としてお取りしておきますので、お好きな時にお使いください」
「サンキュ。んでさ、質問なんだけど」
「はい、なんでしょう?」
「ウエイトレスの子、目閉じてんの?」
「ああ、○○ですね。全盲らしいのですが、まるで見えているように動くので、私としても助かってます」
「ふーん」
おそ松は席に戻り、オーナーとの話の内容を伝えた。
「それは、ありがたいな」
「○○っていうのか。全盲とはな」
「それよりここの唐揚げ、最高!!」
しばらく飲み食いしていると、そろそろ看板だということで代金を払って、外へ出たおそ松たち。
「待ってたぜ、バーロー」
「あれ、さっきのチビじゃん」
「この店に入る為に、お前らの協力が必要なんだ。ちくしょう」
「どうせ取引に使いたいだけでしょ?断る!って言ったら?」
「腕ずくだ、てやんでぇ!!」
「やきうやるの?!」
「俺も加勢するぜ、じゅうしまぁーつ」
肉弾戦で十四松とカラ松に勝てる者など、いない。あっという間に小男が不利になった。