第1章 Prologue
歴史のある街の中心。そこに何時からあるのか分からないほど昔から存在する古い教会。
光に照らされ教会にはめ込まれたステンドグラスが色艶やかにキラキラと輝く。ステンドグラスには傅いている民や竜、そして、この世の中でこれ以上素晴らしいものはないという程に清廉なる天使が描かれていた。此処を訪れた者は皆、目を奪われ静寂に支配される。
『空から舞い降りし天使。世界の終焉を告げる時、この世の全ての罪を受け、天へと還る』
静かな空気の中、ステンドグラスの天使と同じ白髪の少女がガラスを見上げた後、壁に書かれていた説明文を読む声が響く。隣にいた同じくらいの銀髪の少年はその姿をただただ見つめていた。
「……帰るぞ」
「うん!」
銀髪の少年が差し出した手を繋いで2人は家路に着いた。それは暖かな夕日に包まれていた。