第61章 アナタが笑顔なら 後編
「ありがとう…」
まぁその時は…色々手段はある
「全く紫苑は…優しいにも程があるっスよ」
「別に優しい訳じゃ…」
「ほら、そろそろ横になってください」
「はぁい」
仕事を片付けてくるから、と喜助さんは部屋を出た
「盗み聞きっスか」
「昔の仕事の癖での。許せ」
はぁ、とため息を吐いた喜助の後を追って階段を降りる夜一
「随分と丸くなったのぅ」
「なんのことっスか?」
「阿近のことじゃ」
以前は幼かった阿近にさえも、敵対心を剥き出しにしていた
「別に嘘ではないっスよ」
「ほぅ。一護には紫苑の傍に居る男は自分だけで良いと言っていたのにか」
「…なんで知ってるんスか」
「はて、なんでじゃったかのぅ」
どこから情報を仕入れたのか
それともまた得意の盗み聞きっスかねぇ
「あれは種類が違うんスよ」
「種類?」
「黒崎サンのは下心でしょう?阿近サンのは支えっス。支えは一つでも多いほうが良い」
「下心…」
なんだか一護が不憫じゃの…
「支えが男でも良いのか」
「まぁ…大歓迎って訳じゃないっスけど」
でも多分、紫苑から阿近サンを取り上げたらあの子はダメになるんだろうな…
悔しい
ボクだけじゃ足りないっスか…
「変わったのぅ」
「アタシはね、あの子の笑顔が見たい。紫苑が笑顔ならそれでいいんスよ…」
「やはり丸くなったの」
「丸くなったといえば、雪姫サンも大分丸くなりましたねぇ」
「あの雪姫が?」
昔はなんでも物事をはっきりと言う、気の強い奴じゃったのに
「紅姫に似てきたんスかねぇ」
少しだけ嬉しそうに微笑んだ顔
「で、夜一サン。暇なら手伝ってくれません?」
「さて散歩にでも行くとするかの」
「ちょっと!夜一サ~ン」
「紫苑の喜びそうなものでも買ってくるぞ」
「もぅ…」