第53章 私を忘れないで…
「出掛けたって…どこに」
あいつの恋人(悔しいけど)の浦原さんならここに居る
親友の琴乃も店の奥のほうに姿が見える
「総隊長さんに呼ばれたみたいです…」
雨がモジっとしながら答えると、一護の後ろから死神の姿が見えた
「まさか尸魂界に行ったとは…行き違いになってしまったな…」
「ルキア!お前、なんでここに」
喜助はまた客が増えた…と、適当な位置に腰をかけた
「紫苑殿の無事を見に来たのだ。浮竹隊長が、気になるなら行ってきなさいと、言ってくれたのでな」
「浦原さん、紫苑はなんで総隊長に呼ばれたんだ?」
「アタシが知りたいっスよぉ~」
「浦原さんも知らねぇのか…ならちょっくら尸魂界に行ってくっか」
その発言をした一護を、冷たい氷のような視線が刺した
「言っておきますけど、門開けませんからね」
「な、なんでだよ!」
「開けません、絶対」
そのまま喜助は立ち上がり、背中を向けて仕事に戻った
「拗ねてるだけだろ」
「拗ねてるって…」
「キスケさん、仕事しろって鉄裁さんに怒られて、紫苑さんに着いていけなかったから…」
「あの浦原にも子供のようなところがあるのだな…」
全く意外だ
しかし紫苑殿は総隊長に呼ばれたのか…
浮竹隊長は朝から隊首会に行っている
ということは紫苑殿も隊首会に?
だとしたら今戻っても紫苑殿には会えないか…
「なぁルキア、お前尸魂界に戻るんだろ?俺も連れてってくれよ」
「いや、私はせっかくだから井上の顔でも見ていこうかと思ってるのだが…」
「くそっ!俺なんで穿界門開けられねぇんだよ!」
「まぁまぁ、上がってお茶でも飲んでいったら?そのうち帰ってくるよ」
「琴乃!」
お盆にお茶を乗せた琴乃が一護に話しかけた
「は、初めまして!十三番隊の朽木ルキアといいます」
「初めまして、東雲琴乃です。その節はご迷惑おかけしました」
と琴乃にしては珍しく、礼儀正しく深々と頭を下げた