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恋人が意外とSなんですが

第4章 それ全く冗談になってないです







「……あのう、」

「ん?」

「ここは…」

「え?自分の家も忘れた?」

「はい、そうです私の家です
 送ってくれてありがとう!」

「…なんなの?」





『まだ一緒にいようか』から
いい雰囲気になって
新しい関係になったのは
つい先ほどのこと。

もう少し2人で余韻に浸れると思いきや
あっさり家に送ってくれた彼。

期待した自負に
バカバカバカバカと
呪文のように唱えまくった。


くっ…酸いも甘いも
こんな早く体験させてくれるとは
やるな、やるなこの人!



黙る私に彼がふふ、と笑う。


「…お前さあ、」

「…な、なんですか」

「なんか言いたいことあるなら言えって」

「……(な、なんかって…
 折角なら朝まで一緒にいませんか、
 だなんて…言い方がふしだら!)」


うー、と唸る私に「がんばです」と
その一言に勇気付けられ
ふう、と大きく息を吐いた。



「…せ、折角なら…う、ちでお茶でも…」
「すみません、やめときます」

真顔の彼がアッサリ断る。







「……、断る準備万端でした、よね?」

「うん、だって抑えられる自信ねえし」



抑え、る…?
彼のセリフにピンときて
自分の発した言葉の意味を訂正した。



「……あ、いや、そう意味じゃ」


慌てた私に
「うん、わかってるよ」と
優しい表情をくれる。


「そういう意味じゃ無くても
 やっぱ俺はさ、なんつうか、ね、
 今気持ち高ぶってるし、
 何するか自分でもわかんねえし、
 さっきみたいに」



彼の言う"さっき"に
触れた唇の熱さを思い出した。




「……う、ん」

「やめて、それ」

「…え?」

「連れて帰りたくなるから」





どんな顔していいのかわからない私に
またね、と優しく微笑み髪に触れて。



ああ、私
凄い決断をしたんだな、と
バクバク音をたてる左胸を抑えながら
彼の車を見送った。




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