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気持ちいいことしませんか

第2章 サディスティックな目覚め


「え、姫と知り合いなの」



高等部のころに、初等部の華のことが男子の間で噂になった。


姫月 華。

清楚で、穏やかで、おっとりとしていて。
誰が見ても生粋のお嬢様。
生まれてから切ったことのないサラサラのロングヘアは、まさしくそれの象徴ともとれるほど。
いつしかその美貌や出で立ちから、『姫』と、呼ばれるようになっていった。



「かわいいよな」


回りの男たちの華を見る目が明らかに代わり始めたのもこの頃だ。
そしてそれは、同年代の小さな小さな男予備軍にも。








「華」



家に帰ると、お手伝いさんが華が学校から帰って来るなり部屋にとじ込もって出てこないと。
それはもう血相を変えて僕を出迎えた。
だから。
またいつものように同級生にいじめられたのだろうと。
単純にそんなことを思っていた。
この頃、華の同級生は子供じみた駆け引きで華の気を引こうと必死だったのが手に取るようにわかっていたから。



「華、入るよ?」

「!!」

コンコン、と小さくノックをしてドアに手を掛ければ。
耳を疑う言葉が反ってきた。

「駄目です!薔さまは、入って来ないで下さいっっ」

「………」


初めて聞く、拒絶だった。
華が僕を拒絶するなんて。
華が僕に、『イエス』以外の言葉を、投げるなんて。
はっきり言って。
ショックだった。
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