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気持ちいいことしませんか

第7章 『許すと、思う?』


『許して欲しい?』




おそろしく整った、漆黒の切れ長な瞳の面積が狭められ。
おっきくて大好きな掌が頭へと触れた。


「…………っ」




イエス、か、ノー、か。
正解がわからない。
もしかしたらたぶん、薔さまにとってはどっちも正解で、不正解。
早く。
答えなきゃ。
どっちでもいいから。
早く答えなきゃいけないのに。


言葉が、出てきません……っ


「華」


「しょ……っ、さま」




「……じゃぁ華、『これ』、取って欲しい?」
「ぇ」


取って、くださるのですか?


「欲しくない?」



取って、欲しい。
欲しい、けど。
こんなものでこんなに乱れて、気持ち良くなってしまって。
薔さまを幻滅させた?
失望、させた?

『婚約者』、とまで言ってくださったのにあたし、こんなにおかしくなっちゃって。
約束も、破ってしまって。
薔さまに、嫌われてしまった?



「………ふ、っ、ぅ」



考えなくちゃいけないのに。
薔さまの質問に、答えなきゃいけないのに。
また、気持ち良くなってしまう。
考えがまとまらなく、なっちゃ……



「華」
「……っ、や、っぁああっ」



もう無理です。
これ以上は壊れてしまう。
感覚がなくなってくる。
身体中が重くて、怠くて。
鉛のように全部が重い。



あ、れ。



真っ暗?



もう、夜?





「華、早く壊れちゃえばいいのに。早く、僕だけのものになって華」





うっすらと聞いた薔さまの言葉は、たぶん聞き間違い。
だって華は、もうずっと前から薔さまのもの。
薔さまのためだけに、生まれてきたのだと思います。
だからたぶん、勝手に都合のいいように脳が置き換えてしまったんだわ。


きっと、そう………。

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