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気持ちいいことしませんか

第4章 転校生


「………っと」


くた、と、意識を投げ出した華の後頭部へと掌を差し入れ、頭を衝撃から守る。
そのまま抱き抱え、ソファーへと小さなその体を運んだ。





「………」


服を直し、毛布をかけてから。
鍵をかけたひとつしかないドアを開ければ。



「………っ」


噂の転校生が、真っ赤に顔を染めて立っていた。


「何か、用ですか」


「……あ、んた、何して」


声をかけて初めて、僕の存在を認識した彼は、ゆっくりとこちらへと視線を向ける。
その表情を徐々に、激しく歪ませながら。



「なんのことでしょう」
「ふざけんなっっ!!あんた、教師だろっ?姫月をどーするつもりだよっ」


胸ぐらを掴んでまくし立てる彼に、敢えて抵抗はせずに口角だけを上げて。

「華は、僕のものだ」

「は?」

「華は僕のものなんだよ。華に何をしようと、お前には関係ない」

「お、まえ何考えて……っ」

「しー、華起きちゃうよ?」

「………っ」



激しく苛立ちを見せる瞳を、ハッとさせながら視線だけで華を追う。
その隙をついて両手を引き離せば。
彼は苛立ちと憎しみを堪えた瞳をこちらへと向けてから、廊下の向こうへと消えて行った。



「これだから子供は、好きですよ。短絡的で」



再びドアを閉めて。
ついでに鍵までかけて。
華の眠るソファーを軋ませ彼女の綺麗な髪をとかすように、撫でる。
吸い付くように艶々のそれは、毎朝僕が手入れしたものだ。
華の髪の毛1本、誰にも触れさせない。
全部全部、僕のものだ。




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