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気持ちいいことしませんか

第4章 転校生


「……転校生?」
「そう、珍しいね」
「華、はじめてお目にかかります、『転校生』」
「いや、そんなキラキラ輝かなくても」



『転校生』。
なんて素晴らしい響き。
だってだって、転校生、それはつまり、外の世界を知っている、方と言うことになるのですから。
初等部からずっとこの学園にいる華にとっては、まるで夢のような方ですわ。
さっそくお友達になっていただかなくては!!







「霧生 斗榿(きりゅう とき)」



噂の転校生を、教壇へと立ちながら説明する担任の先生。
だけともう、教室の誰もがしんとおしゃべりを止めた。
だって。
だって。


「顔馴染みの者も多いだろうが、初対面の顔ぶれもいるわけだ。霧生、自己紹介」


先生からそう、促された『彼』、は。
一歩だけ足を進めて、至極簡潔に自己紹介とやらを、あたしたちにしたのです。


「霧生です」


ペコリと、無愛想に頭を下げて。
彼は空いている席、つまりあたしの後ろの席へと、無言でその長い足を進めて来ました。


「髪、伸びたんだな」


座る直前にそう、あたしを脅すことも忘れずに。


「…………」




どーしよう。
どーしよう。
後ろの席なんて、何をされるかわかったもんじゃありません。
薔さま、助けて。
彼。
霧生くん、さらに怖さに磨きがかかってますっ!!



彼、は。


昔あたしの髪をバッサリとハサミで切り落とした男の子、です。


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