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植物図鑑【リヴァイ/進撃の巨人】

第5章 「気持ちが傾く」





......リヴァイと暮らし始めて
分かったことが一つある。




誰かと一緒にいると泣き虫になる。




以前は理不尽なことが積み重なる
周期が来ても、家でこんなに
泣くことなんかなかった。




一人の時は 強張った顔で家に帰り、




強張った顔でコンビニ飯を流し込み、




強張った顔で風呂に入って、




強張った顔でベッドに潜り込んでいた。




だが今は違う。





『リヴァイのせいだよ』





これといった名前のつかない、




リヴァイの思いつき一発で
作られるくせにハズレのない、




しかしもう一度あれが食べたいと
リクエストすることが
とても難しい料理を食べながら、




さやかは拗ねたように呟いた。





『前はこれくらいじゃ泣かなかった』





これくらい。




その内容をリヴァイが
訊いてくることはない。




さやかも話したくはない。





「......不本意か?」





リヴァイは一言だけで核心を突く。





『......不本意ながら、楽』





泣かなかったのは
理性がブレーキをかけていたからだ。




一人暮らしで泣いたって
慰めてくれる人なんか誰もいない。




泣いたって無駄だ。無意味だ。




泣いた後に襲ってくる
虚しさを思えば
最初から泣かないほうがずっとマシ。




でも今は違う。




受け止めてくれる人が
同じ部屋の中にいるなら
泣いてしまったほうが楽だ。





「...そうか、ならいい。」





リヴァイが箸を置いて
さやかの頭にポンポンと
手のひらを乗せた。




そしてリヴァイが
食事の途中で席を立った。




台所のテーブルから
何か持ってくる。




手渡されたのは
リボンのかかったビニールの
パッケージに入った入浴剤だった。


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