第2章 望まぬ力
一斉に銃を十四松に向けたところで、俺たちが前に出た。
「ちゃーっす、お兄さんたち。俺たちのシマで、何勝手なことしてんのかなぁ」
「なっ…!」
「丸腰の相手に銃を向けたんだ。こっちが始末しても、正当防衛だよな?」
俺も手をボキボキ鳴らしながら、言った。くー、決まったぜ!
「どうやって、弄ぼうか…。ククッ」
その時だった。
「動くな!この女がどうなっても、いいのか?!」
○○が羽交い締めにされていた。チッ、まだいたのか!
だがおそ松が放った言葉は、冷酷だった。
「ああ、いいよ。そんな女、どうでもいいし」
「おそ松、お前、そんなつめた…!」
「ぎゃあああああ!!」
悲鳴の方を見た俺たちは、驚いた。○○を羽交い締めにしていた奴が、燃えているじゃないか!触れている○○は、燃え移っていない。どういうことだ?
!!そう言えば○○がしきりに、燃やすとか言っていたが、このことか!
「な、なんだこの女!!」
「おそ松、後ろは任せな!」
「へぇ、やるじゃん。よし、お前ら!暴れるぞ!」
「オゥライ!!」
慌ててやってきた他の連中も、○○の炎と俺たちの動きに、ついてこれない。あっという間に終わった。見張り役は、まあ下っぱだな。
「お兄さん。松野ファミリーのシマで、好き勝手やったら、メッだよ?」
トド松が可愛く言ったところで、悪魔の囁きにしか聞こえないだろう。
「あっけなかったな」
「俺の出番、ほぼなかったよ」
「まあまあ。楽だったんだし、いいじゃん」
「あの炎、凄かったよね!手品?」
倒れた奴から財布を取りながら、十四松が聞いた。燃えていた奴は黒焦げになっている。…燃えた跡が、周りにないだと?!これだけ燃えれば、道路にも残るだろ!
「パイロキネシスだ」
「パイロキネシス…。発火能力か!」
「狙った物しか燃やさない。炎も自在に操れる」
「すげー!」
「おそ松兄さん。こんなに持ってたよ!」
さっきの財布の中を見せる。おー、お金持ちぃ!
「おっしゃ、キャバクラ行こうぜ!」
「あの店か!」
「そそ!あの店!」
久しぶりだなぁ。俺たちの行き付けのキャバクラ。あそこは美人揃いだから、いいんだよな。おそ松と肩を組み、歩く。
「おそ松兄さん。○○、どうする?」