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千年越しの恋情記 【鬼滅の刃】

第10章 足音の呼吸





「お散歩でも?」

「…夜になるまですることがないだけだ」

「お仲間だったか…ああそうだ、丁度昼時だし、お昼ご飯食べに行かない?」



日が高いところにいる…それに、町は食事処が賑わい始めている

だからそう提案したのだが、義勇さんは無表情のまま首を傾げた



「お前は食べられないだろう」

「義勇さんが食べてるのを横から眺めていようかと」

「…それは楽しいのか」

「まぁそれなりに。それに近くの蕎麦屋さん、メニューに鮭大根があるってさっき町の人が話してて…」

「行く」

「即答…!?」



てちてちという謎の足音を響かせながら早々に蕎麦屋へ駆けていく義勇さんの姿に吹き出しそうになりながらも、その後をついていく

ただし、日の光には慎重に配慮をしないといけない…突然こんな街中で燃えたら騒ぎになってしまう


店に入ってカウンターの席を二人分取ると、席に着いた時義勇さんの方から声をかけてきた



「…そういえば…鱗滝さんから手紙をよくもらう。狭霧山によく出向いてるそうだな」

「流石に任せっきりは悪いから、たまに食材届けにね。炭治郎も鱗滝さんも元気だったよ」

「…妹の方はどうした」

「禰豆子ちゃんはずっと眠ったまま。一回診てみたけど命に別状はなさそうだから多分大丈夫」



…そこで、義勇さんが頼んだ大盛りの蕎麦と鮭大根が運ばれてきた

いつも通り無表情のままだけど、心なしか周りの空気がキラキラと輝いて見える



「あの兄妹のことまだ報告してないんだよね。私以外の隊員にバレたら大変なことになるんじゃない?」

「少なくともお前は言いふらさないだろう」

「そりゃまぁ…あの二人のことは気に入ったし…禰豆子ちゃんはまだ人を食べてないから殺す道理はないしね」



そもそも、鬼が人を食べないというのはほぼありえないことだ

鬼に身を転じた際、かなりのエネルギーを消耗する。その消耗を、鬼は強烈な空腹感として捉え…身近にいる者、家族や通行人、その他諸々…
見境なく食らい、そして力を増していく

それが鬼の真髄だ


私にも身に覚えのある苦痛だからよくわかる
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