第7章 また会える日まで (シャボンディ諸島編)
この島に来た目的、それはコーティング職人に会いに行き、私たちの船を樹脂で包んでもらうことだった。はっちんによると、それにより船が海中を航海出来るようになるらしい。
これが私たち人間が魚人島に行き着くための唯一の方法だった。
「腕のねェ職人に当たっちまうと船も人間も大破してお仕舞いになる。おれが一人だけ信頼できる職人を知ってるから、そこへ連れて行く。」
「何だかんだと、タコさんいい人・・・いや、いいタコだ。」
はっちんの言葉にブルックはしみじみと感動する。
私も、はっちんはいいタコだと思う。
思えばタコ焼きってタコを焼いてるけどそれについては複雑ではないのだろうか、と少し疑問に思ってしまう。
いや、それは考えてはいけないことなのだろう。
「そのかわり一つだけ約束を守って欲しいんだ。」
「おう、何だ?」
ここまでしてくれたのだ、何か約束事があってもおかしくはない。
しかし、それは予想していたものとは少し違っていた。
それは、世界貴族・・・聖地マリージョアの住人達のことだった。
「たとえ街でどんなことが起きようとも"世界貴族"にゃたてつかねェと約束しろ!たとえ目の前で人が殺されたとしても、見て見ぬ振りをするんだ!!」
世界貴族、名前だけ聞いたことはあるけれど見たことは一度もない。そんな法律とは無縁の何をしても許される人たちとなんて会いたくもないけれど・・・。
「これだけ約束してくれりゃあ良い。さぁ!これから街へ出るぞ。」
はっちんは気を取り直したように、ニッと笑みを浮かべた。
『あ、私はパス!』
「え〜、何でだよクレア!」
私が街へ行くのを拒否すると、チョッパーが抗議の声をあげた。
『まずは船からの光景を絵におさめたいからさっ!後から追いかけるね!』
私がそう言うと、チョッパーは納得したようだった。
私は先行している人たちを手を振りながら見送り船に戻った。