第7章 《リヴァイ》愛ある行為を ※
「猫の…」
「?」
「猫の…耳を………」
「は?」
消え入りそうな声で絞り出された単語。
まったく意味が理解できず、腐抜けた声が出てしまった。
「猫なんか飼ってねぇだろ。なんの話だ。」
「……」
「エマ?」
壁に両手をついたまま覗き込むと、耳どころか首まで真っ赤になっている。
その時俺はエマの意味不明な言葉の意味を唐突に理解した。
……フッ、そういうことかよ。
意識せずとも勝手に口角が上がってしまう。
「お前…“猫耳”なんてどこで使うつもりだったんだ?」
「う……」
上げた顔はギクリとして、そのうちに目を酷く潤ませて困り果てる。
「どこで、誰に使うつもりだったのか聞いてるんだが?」
ダメだ。全部分かってしまったのにコイツの顔が俺の加虐心を煽っちまう。
言葉を詰まらせるエマをじっとり見つめ続けると、とうとう観念したようにポツリポツリと答えた。
「…リヴァイさんと……ベッドの上で…使おうと……」
「ほう。どうして?」
柔らかな髪を梳かしながら声色と口調をできる限り優しくする。
「さ…最近全然シてないから……魅力なくなっちゃったのかな…って思って…」
それを聞いた瞬間、髪に埋めていた指がピタリと止まった。
「だから、その……ちょっと変わったことに挑戦するのも…どうかな……なんて、」
「………」
「うう~…だから言いたくなかったんです!引いちゃってるじゃないですか!もうこんなもの買うんじゃなかっんっ!!」
今にも泣き出しそうな顔をして嘆くエマの唇を乱暴に塞いだ。
箱がごゴトリと落ちたのも気にせず、俺はそのまま性急に舌をねじ込んだ。
「んっ…ふ……ぅ……」
胸を押し返そうとする腕を掴んで一纏めにし壁に押さえつけ、エマの口内を激しく蹂躙する。