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【進撃の巨人】‎熟れた果実を貴方に【短編集】

第11章 《エルヴィン》黒の彼氏 ※




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「エルヴィンさん、今日も楽しかったです、ありがとうございます!」

「私も楽しかったよ。エマといると本当に時間が過ぎるのがあっという間だ。」

水族館デートの帰り。
閉館してしばらくの誰もいない門の影で、私たちはこっそりキスをする。


「誰かに見られてたらどうしよう」

「辺りはこんなに暗いんだ、いても気付かれやしないよ」

もう一度唇にキス。また触れるだけ。
ちょっと大胆になって、背中に腕を回してみた。


もっと深いキスして欲しいなんて言えないからこれが精一杯のアピールだけれど、エルヴィンさんは今日も軽めのキスと、抱きしめてくれるだけ。

若干の物足りなさを感じつつも、けれどここは外だしと仕方ないと言い聞かせて素直に手を繋ぐ。


エルヴィンさんは大人だから、きっとこういう場所では歯止めを掛けてくれるんだ。


「ねぇ…今度、エルヴィンさんのお家行ってもいいですか?」

「私の家に?言っておくが何も面白いものはないよ」

「面白くなくていいよ。…ダメかな?」

「そうだな…エマがいいなら私は構わないよ」

優しい瞳に見下ろされ、ぽんぽんと頭を撫でられれば、それだけで心臓発作が起きてしまいそうだ。

あぁ、エルヴィンさんはどれだけ私の寿命を縮める気なんだ。こんなんじゃ私の心臓はあと数年で役目を終えてしまいそう…


「じゃあまた来週の日曜日。もし良ければ、昼から行ってもいいですか?」

「あぁ、すまない。昼間は用事があってね。夜でもいいかい?」

「あ、はい。全然!」

笑顔で頷く。
付き合って三ヶ月が過ぎたが、未だ一日通して会ったことはない。
だからたまには丸一日ゆっくり一緒にいたいな、なんて思っての提案だったのだが、無理なら仕方がない。

というか、エルヴィンさんと会うのは夜ばかりだ。
思い返しても、出会ってから一度も昼間に会ったことがなかった。平日はもちろん仕事だが、休日でも。


…忙しいのかな。


少しだけ理由が気になった。聞きたかったけれど、まだそこまで問う勇気はない。
何にしろエルヴィンさんと会えるだけで幸せなのだからと、その疑問はそっと胸の内にしまった。


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