第2章 プロローグ
古びた部屋は、黄昏に染まれつつあった。
いつもよりご機嫌な母が、私を呼んだ。
どうやら、紹介したい人物がいるらしい。
私は母のところまで行くと、見たことの無い男性が立っていた。
見た目は優しそうな人だった。
「、貴方の新しいお父さんよ。ご挨拶しなさい。」
私はとりあえず、頭を下げた。
「こんにちは。今日から君のお父さんになるから、よろしくね。」
その男の人はニコリと笑った。
「 ちゃんは明日、誕生日だよね。何歳になるのかな」
私は警戒心など、なくなって
『13』
と、答えた。
「13歳か...春には中学生かな」
その言葉に母は唇を曲線に描き、艶やかに微笑んだ。
「ふふ、は中学二年生になるのよ」
「あぁ、そう言ってたね」
そう。私は寒い時期に生まれた。
1月で、雪が降っている時期。
「じゃあ、ちゃんの誕生日に兼ねて今日は食事しに行こう」
「いいわね」
母は私に、コートを渡した。
あの日も、今日のように寒かった。