第3章 約束
才蔵さんは、才蔵さんの熱い身体全てを使って容赦なくわたしを快楽へと責め立てる。
才蔵さんの口付けも、わたしへの身体の触れ方も、今日は、全部荒々しくて、激しい。
なのに、わたしの身体は、否応もなく、その才蔵さんの荒々しさ 全てが欲しくて仕方ない。
才蔵さんは、才蔵さんの唇や舌や、器用な指先を使って、わたしの身体に、熱い刺激を広げてゆく。
刺激を広げられる度に、わたしの身体に、今まで感じた事のない様な雌の本能と言うべき物の様な花が開いてゆく。
もう、声を押し殺す事さえ忘れて、才蔵さんの広い背中にしがみついて、泣く様な声が出てしまう。
もう、これ以上の刺激には、耐えられないと思った時、
才蔵さんの熱くて固いものが深くに入って来て突き上げられた。
「ああああああ!」
わたしの唇から、悲鳴に似た声が溢れた。
そして、深い部分で熱く繋がると 才蔵さんに今まで無かった程激しく揺さぶられ続ける。
わたしは、才蔵さんの、突き上げてくる劣情を受け止め、泣くような声を上げ続けた。
頭の中で、ぷっつりと意識の最後の一線が切れる。
「おーい 才蔵!」
遠くで、幸村様が才蔵さんを探す声が聞こえるのを最後にわたしの意識は遠のいて行った。
才蔵は、自分の腕の中で初めて果ててしまった愛しい女の顔を見つめていた。
身体には、自分の付けた赤い印が咲き乱れて居た。
かんざし一本で、俺はここまでしたのかと思い苦笑する。
どうやら、俺は、この愛しい女を、自分が思う以上に、愛しくて誰にも近寄らせたくも、触れさせたくもない女として、自分の心の中に大きく住み着かせてしまった様だ。
この女と初めて、あの桜の木下で出会ってどのぐらい経ったのだろう。
とうに、人間らしい感情など捨てて無くしてしまったと思っていた俺を、ここまで変えてしまった女。
黒いさささらとした柔らかい髪が乱れて、いく筋もの線となって
流れていた。
それは、月の光に照らされて、キラキラと輝いている。
その一筋を、指にそっと絡ませて、口付けを落とした。
俺は、初めて、自分の心に執着と言う強い感情を植え付けた愛しい女の寝顔を見つめる。
いつも、真っ直ぐで、一生懸命で無防備な女。
俺の腕の中で、初めて女になり、女に目覚め始めた女。
「もう、手放せない」