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夢の続き【アイナナ】

第1章 楽と紡夢


#1
「今日はありがとうございました」
いつものように、TRIGGERの控え室に挨拶に行く。控え室に入るなり楽さんに呼び止められる。
「おい、あんたちょうど良いときにきたな。差し入れのモンブランが沢山あるから食ってけよ」
「え…(なんかデジャブ)い、いただきます!」
「残さず食えよ」
「はい!」
美味しそうなモンブランを口に含む。
「んー!オーボンビュータンのモンブラン美味しい…」予想以上の美味しさに、思わず顔がほころぶ。
楽さんがやさしく微笑み、私をみた。
「ふっ…あんたって、ほんと美味しそうな顔するよな」
「いや、だって、ほんとに美味しいですから…!
…あのところで他の皆さんは…?」
控え室には楽さんしかいない。

「ああ、別件で打ち合わせ中だ。もうすぐ戻ってくる。」
モンブランは美味しくて、あっという間に平らげてしまう。
「ごちそうさまでした!」
「え、もう食べたのか…」
「はい!皆さんが戻られるまで少し待たせていただいても…?」
「ああ、もちろん。モンブランまだ食べるか?」
「いえいえ、ひとつで大丈夫ですよ」
ふと見ると、楽さんの髪に少しクリームがついていた。

「楽さん、少しかがんで貰えませんか」
「?ああ」
楽さんの髪についているクリームをとろうと、頭に手を伸ばす。
一瞬、びくっとした楽さんが私の手首を掴んだ。
「え…?」
びっくりして思わず楽さんの顔を覗き込むと、真剣な顔で瞳が揺らいでいた。
思わず吸い込まれそうな瞳を、見つめ返す。
瞬間、優しい触れるだけのキスが降ってきた。
「!!」
びっくりしたのと、思いの外、柔らかくて優しい感触に胸がギュンとなる。
そして、静かに唇を離す。
「が、が、楽さん…!?」
「…紡」

そう、何かいいかけた時、控え室の扉が開き、九条さんと十さんが帰ってきた。
「あれ、お取り込み中だった?」九条さんがさらり、という。
「ああ、そうだ」
「が、楽さん!いえ、あの今日も共演、ありがとうございました。」
ペコリ、と二人に挨拶とお辞儀をする。
「紡ちゃん、大丈夫…?顔真っ赤だよ」十さんが心配そうに私に声をかける。
「いえ、ほんと、ほんとに大丈夫です!失礼します」
脱兎のごとく楽屋を出ようとする私の手首を、楽さんが再び掴み、
「あ、あとでラビチャする」
そう告げた。こくりとうなづく。
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