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愛玩彼女

第4章 ほんとうの、理由





「大丈夫?」
「じゃ、ない」
「よなぁ」


ったりまえだ!!
2日連続ふたりを相手にするなんて、いくら体力ムキムキのお兄さんだって死んじゃうよ。

…………いやぁ。あたしに体力足んないだけ、かなぁ?


「絶対、違う!!」



布団の中で憤るあたしに向けられた冷たい視線。
そんなの感じてますよ。
ええそりゃ、ひしひしと。



だけどあたしにも憤る権利くらいは、あるはずなんだ。
絶対に。







遡ること、少しだけ前。
体の痛みと怠さを感じなから、それでも強く感じた口渇を潤すために頑張って起き上がろうと、した、けど。
見事にその体には力が入らず、その場で崩れ落ちたんだ。

「あー、お早う。って言ってももうお昼だけどね?」
「お昼ッ!?」
「うん、よく寝てたねぇ。とーまー、ライちゃん起きたー」

最後の方は、ドアの向こうへと向けられたもの。
すぐに呼ばれた片割れは、ミネラルウォーターを手に寝室へと現れた。

「おはよ、寝ぼすけ」

それは、あんたたちがあんなこと、するからっ。
あんな、こと……。

甦った記憶は体の中の体温までも、瞬間湯沸し器へと変えていく。

「朝からなんの想像してんだよ、やらし」
「違うっ」
「どー違うんだか」

「まーまーふたりとも。仲いいのはわかったからさ。僕、どっちにやきもち妬けばいいのかわかんないじゃん」
「ぼくーっ?おまっ、その顔でする発言気を付けろよっ」

両腕を擦りながら、同じ顔が同じ顔をひとにらみ。

「あははーっ、斗真の反応次第だねぇ?」

完全にこのふたり、兄が弟にいいように振り回されてるんだわ。
けっこう見てるの、面白いかも。


だけど。


甦ったままの記憶は時間がたつにつれ、生々しく鮮明に思い出される。
思い出された記憶は、自分の醜態さえも思い出すのにさほど時間がかからないもので。


そんなあたしの反応を、見逃す彼等では、ない。
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