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愛玩彼女

第17章 エンディングのその後は


トントン、て。

部屋をノックして中へと入れば。
すでに部屋はきれいに荷造りされていて。
段ボールの山の中、雷斗がひとり、机へと向かっていた。




「邪魔、かな」


「姉ちゃん」





キィと椅子を響かせて振り向く雷斗は優しく微笑んで。
静かに首を横に振ってくれた。











「雷斗は、さ」
「ん?」
「知ってた、よね?あたしたちの関係」


「うん」




自分でふった話題とはいえ、男子中学生に向かってなんて生々しい質問してんだ、あたし。
真っ直ぐすぎる答えに、思わず顔が真っ赤に染まった。





「………あたし、ね」
「うん」
「おかしい、かな」
「なんで?いんじゃねーの?向こうもいいっていってんなら」
「……ぅ、ん」
「姉ちゃん、母さんが『ああ』なってから、なる前も、頑張って来たじゃん。親父にされてたことも俺ほんとは知ってる」
「ぇ」
「でも怖くて。姉ちゃん守ってやれなかった。ずっと泣いてたの、知ってたのに。だから今度は、俺にその力あるんだったら今度は絶対守ってやるんだって、そう、思ったんだ。だから大丈夫だから、あいつらなら、俺がずっと責任持って面倒みるからさ」


中学生らしくにかって笑ってVサインを送る雷斗は、子供と大人の、中間。
あたしたちはまだまだ大人になりきれてないから。
誰かの支えが必要な子供だから。
だから甘えながら、子供を卒業してもいいのかな。
甘えられる場所があるなら。
それもいいのかな。


「斗真さんも透さんも力貸してくれてるし」

「!!」


そうだ。
それ!


「城崎家の跡取り引き受けた、って、いいの?」


「いいよ」



「そんな簡単に……っ、いいの?だってそれ、ほんとはふたりのうちどっちかが」


「でもそれじゃ、姉ちゃんを幸せに出来ないから」


「ぇ」



「父親が誰かもわからない姉ちゃんを、正式に迎えられないだろ?ましてやさ、姉ちゃんふたりのうちどっちか選べんの?」
「え」
「由緒ある家柄の跡取りが、さ、ひとりの女共有してます、なんてマスコミにネタ提供してどーすんの」
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