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【FHQ】勇者の物語

第5章 旅立ち


「ヒナタ……本当に行っちゃうの?」
「うん!……ごめんね、ヤチさん」
「アオネさんも……」

アオネさんは頷いた。

早朝、烏野村の門で、俺とアオネさんの見送りで人が集まっていた。

ナリタさんが

「ヒナタ、アオネ。無茶するなよ」

俺とアオネさんの頭を撫でてくれた。
話を聞いて急いで帰ってきてくれたキノシタさんが

「下級の魔物は取り敢えず叩けば弱るし、逃げれば大体が追ってこないから、焦るなよ」

弱い魔物への対処法を教えてくれた。
エンノシタさんが

「タナカとニシノヤも捜してくれないか?負担を増やすようで申し訳ない……」
「いいえ!俺、2人とも見つけて帰ってきます!」

苦しそうな顔をして頼んできた。引き受けない理由なんてない。
アズマネさんが

「これ、うちの牧場で作った携帯食料。道中食べてくれ」
「いいんですか!ありがとうございます!」

きっと手作りの携帯食料をくれた。市販のよりも美味しいって知ってるよ。
スガワラさんが

「俺はまだ、旅立ちを許したわけじゃない」
「!」
「俺がお前らを許すのは、生きて帰ってきた時だ!絶対に死ぬんじゃねぇぞ!」
「……はい!」

俺とアオネさんを強く抱きしめた。
ヤチさんが

「ヒナタ。これ、餞別。勝手に使ってごめんね」
「え、これって……!」

くれたハンカチは、雪ヶ丘村の旗のマークが付いていて、触ったことのある素材。

イズミンが誕生日プレゼントでくれたTシャツ……

「ありがとう!ヤチさん!ずっと大事にする!」
「うん!」

ヤチさんの笑顔に小さく星が舞う。

「門を開けるぞー!」

サワムラさんの掛け声で門がゆっくり上がる。
朝日が昇る瞬間だ。
サワムラさんが

「武運を祈る」

王国軍の仲間の新たな門出を祝福する敬礼をする。

俺は、昔宿に置いていかれた鎧を着て、剣を腰に据える。
アオネさんは、動きやすい軽装にグローブをつけて。
村のみんなの思いを背負って、

「行ってきます!」
「行ってらっしゃい!」

笑顔で村を出た。

俺たちの旅立ちの日。



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