• テキストサイズ

【FHQ】勇者の物語

第11章 7日間


俺は今、見知らぬ男の脇腹に抱えられて、建物の屋根伝いに街を移動している。

煙を吸わないようにマスクを付けてくれたが、未だ目的は言わない。

男はフタクチと名乗った。

「ねえ、俺の友達からの依頼ってどう言う意味ですか?」

俺がフタクチさんに尋ねると、さっきまでの陽気さを失った声が返ってきた。

「そのまんま。この街に来て、行方不明になった友達がいるだろ」

きっと、アオネさんだ。

「俺さ、そいつと古い友人でさ。長い間ご無沙汰だったのに、ほんの1週間くらい前にふらりと帰ってきたかと思えば、開口一番『助けてくれ』って」

何も変わってなくて安心した、とフタクチさんはマスクの下で笑った気がする。

俺は不思議と、この人から逃げようとは思わなかった。
アオネさんの知り合いって、言葉にしてないけど、アオネさんが信用する人なんだって、なぜか確信を持てた。

「しかしまあ、この剣重いな」

フタクチさんは急に愚痴をこぼした。

フタクチさんはアオネさんに言われたとおり、俺だけでなく剣も持ってきていた。勇者の剣はフタクチさんの背中に、布に包まれて背負われている。

「この剣、昔勇者が使っていたらしく、魔物を引き寄せるらしいです」
「は!?魔物!?それ早く言えよ!」

フタクチさんは驚いて、移動速度を速めた。


/ 130ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp