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また、恋してくれますか。

第17章 〜他生〜


さっきとは打って変わり、余裕の出た詩織は
『ふぅ〜』と一息つくと待合の長椅子に
雑誌を持ってストンと座った。
それから、キョロキョロしたが祖母の姿は
見当たらなかった。

(もう、時間だもんね。きっと検査に
呼ばれたんだ)

顔を覚えてないだろうと、決めつけた詩織は
下を向き雑誌をパラパラとめくりながら

(まぁ、通りすがるようなことが、あれば
確認して帰ろう。確か、名前が小田信長って
言ってたね。信長って!!徳永家の母
さすが歴女だわ!
ん?徳永家なのに、苗字が小田?
あれ?どう言うこと?)
と、一人クスッとしたかと思うと
急に考え込んだり、自分の世界に
どっぷり浸かっていて、目の前に
人がいることに、気づいていない詩織。

すると、『あら?しぃちゃんじゃない?』
と声をかけられた。顔をあげると千里だった。

『おばさん、こんにちは。さっき駅前で
桜奈に会いました。お姉さんの
お見舞の帰りだって。お姉さんの具合は
如何ですか?』

『心配してくれて、ありがとうね!
風邪拗らせて、肺炎になりかけてたのよ。
でも、だいぶよくなったから、すぐに
退院できると思うわ。しぃちゃんは今日は?』

『あっ、おばあちゃんの検査について来た
んです。体調イマイチなんで、一応検査を。
心配ないとは思いますけど、それとは別に
今日も暑いし熱中症とかが怖くて、見張り役で』
とクスッとする詩織。

『あら、偉いわねー。おばあちゃんも
きっと心強いわね。おばあちゃんお大事にね。
また、うちにも遊びに来てね。』

『はい。また遊びに行きます。
お姉さんもお大事にして下さい。』

『ありがとうね。じゃまた』
と手を振る千里に

『はい』とペコッとお辞儀して
見送る詩織。

千里が去ったあと、また元の場所に座り
雑誌を眺めはじめた。
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