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また、恋してくれますか。

第17章 〜他生〜


真っ直ぐに射抜くような眼差しで
家康に答える桜奈の言葉は
正論で、反論の余地などなかった。
純粋が故の正論。

どんなに自分が好きであっても
感情より人としての在り方に重きを置く
桜奈の心の強さを垣間見た家康。

(あんたに感じる意志の強さって
こういうところなんだな・・・
答えは、聞かなくても分かってた
気がするよ・・・)

そうは思っていても桜奈の答えを聞き
少し寂しげに微笑む家康。

『そうだね。幸せにするって誓った相手を
幸せにできずに、他の誰を幸せに
できんの?って話だしね』

『そうですね。私もそう思います』

そうは言いながら、桜奈もどこか
寂しげに微笑んだ。

何度も何度も確認するように
この人を望むことも、欲することも
許されないのだと言い聞かせて行く。
その度に、胸のチクッチクッと
する痛みに襲われ

こんなに人を好きになることなど
もう、できないかも知れないと言う
予感と共に

諦めの気持ちは二人の中に
次第に根を張り始めていた。

寂しいのも切ないのも
諦めに呑まれていく、自分の恋心の
悲鳴であり、心の痛みなのだ。

他生を生き、出会うべくして
出会ったはずの二人。

こんなに切ない想いを味わうくらいなら
出会わなければ良かったかも知れない
そう思ってしまうほど、二人の中の
お互いを想う気持ちも、お互いを望む気持ちも
諦めが呑み込むには、大きくなり過ぎていた。

胸が締め付けられ、潰れてしまうような
痛みに、後どれくらい耐えたなら
諦めが、恋心を消し去ってくれるのか
今の二人には、知る由もなかった。
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