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また、恋してくれますか。

第1章 〜幸せだった?〜


『あらあら、それは嬉しいですね。
母は、父上も信康も大好きゆえ
強い方のお嫁さんにしていただきましょう。

でも、よいのですか?信康には、凛桜様が
いるではないですか?母をお嫁さんに
欲しいなどと言ったら信長様がお怒りに
なるやもしれませんよ?』

『いいのです。私は、凛桜様も大好きゆえ
どちらもお嫁さんにするつもりですから!』
とドヤ顔で言う信康。

『ははは、とんだ浮気者だなー、信康は。
凛桜に言いつけるかな?』と信長を
抱き上げ揶揄う家康。

『それは、ダメにございます。凛桜様は
優しいけど、強い女子ゆえ欲張りだと
信康が叱られます。父上、内緒に
して下さい。お願いします。』と焦る信康。

『そうじゃな、母上も優しいけど
怒ると鬼のように怖いからね
お前の気持ちはよくわかるよ
お互い気をつけような』と
そっと耳元で囁く家康。

『まぁ、誰が鬼ですの?家康様
聞こえておりますわよ』とむぅッとする桜奈。

『ほらな、ちょっと怖いだろ?』
『本当にございますね。父上も
お言葉には気をつけた方が宜しいですよ』と
家康を諭す信康。

『でもな、怒っても母上は可愛いだろ?』
と信康に耳打ちした。

『うふふ、可愛いと仰って頂いたので
それに免じて、鬼と言ったのは聞かなかった
ことにしてさしあげますわ』と
にっこりと微笑む桜奈。

『ほら、笑ったらもっと可愛いだろ?』と
信康に言うと、うん、うんと信康は頷き

『だから信康は、母上が大好きなのです』
と信康。
『父と一緒だな!でも、やっぱり父は
母上を大好きだから信康にはやらん』と
桜奈をまた抱きしめ揶揄う家康。

『狡いです、父上!信康の母上です!
だから母上は、信康のものです』
必死に二人の間に割って入ろうとする信康。

『いいや、父のものだ』
と譲らない家康。

おでこをくっつけて、睨み合う二人を
微笑みながら愛おしく見つめる桜奈。

そんな、何気ないひと時さえ幸せが溢れていた。
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