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また、恋してくれますか。

第12章 〜終恋〜


注文を終えると

桜奈は、恋バナには戻りたくなくて
光成がオススメしてくれた小説の話をし
話題を変えようとした。

『あっ、そう言えば、オススメしてくれた
『舞姫』のあらすじってどんな感じなの?』

『ああ、悲恋の話だよ』とニヤッとする光成。

(ゔぅ、せっかく話題変えようとしたのに
失敗したー)半泣きの、気の抜けた
顔になる桜奈。

ふふっと笑う光成は
(ほんとに、分かりやすいって言うか
素直だよね上杉さん。そう言うところに
惹かれるんだけどね。)と、桜奈を
見つめた。

『そ、そんなんだ・・悲しい恋の話か』

『そう、お互い愛し合っていたのに
時代と環境と立場に阻まれて、添い遂げる
ことはできなかった話。どんなに、好きでも
叶わない恋があるんだなぁって』

(僕の気持ちそのもの。まぁ小説の二人は
両想いで、引き裂かれたけどね。
どっちが辛いんだろう?想いが届かないのと
想いが通じて、幸せ味わってから引き裂かれ
るのと・・・)

『岩田君?』と心配そうに覗む桜奈。
いつも、決して表情を崩すことのない光成が
とても切な気に見えたのだ。

『ん?何?』
『ううん、なんでもないよ。
さっき一瞬だけ悲しそうな顔した気がして。
私の勘違いだったみたい』と、ハハハと
誤魔化すように笑う桜奈。

(いつもながら、恋の話には、鈍感なのに
そう言う察しは、鋭い人だよね。)

ふわっと優しく微笑み
『上杉さんは、鋭いね。
今ね、本の内容を思い出して
ちょっと感傷に浸ってしまったかも』

『そっか、それでか。でも思い出したら
切なくなるなくらい、悲しい話なんだー』
と、桜奈。

読んだら自分と重なってしまう気がした。
そう思うと、だんだん切なくなっていく桜奈。
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