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また、恋してくれますか。

第11章 〜別れ〜


もともと、自立心の強いしっかりした
女性の小夏は、頼られることはあっても
誰かに頼ったり、甘えたりするのは苦手な
性格の持ち主だった。

だから、家康を助けて怪我を負ったことに
何も後悔などしていなかった。
この先は、父の会社を継ぎ一人で
生きていくつもりだったのだ。

しかし、家康のプロポーズを、何度も
断り、気に病まなくていいと言ってきたが
家康は、決して譲らなかった。このまま
家康が負い目を感じたまま生涯を過ごして
いくのかと思うと、助けたつもりの家康を
深く傷つけてしまった気がしていた。
やがて、責任を取ることが家康の心の負担を
軽くしてくれるなら、それも一つ在り方と
考え、家康プロポーズを受け入れたのだった。

それとは別に、小夏自身も過保護な環境
からの息抜きに一人で自由に出かける
口実は欲しかった。

家康とのデートなら、両親も家康に自分を
任せてくれた。家康と出かける時だけは
公共の交通機関を使い、リハビリも兼ねて
歩く事にしていた。

定期的に家康に会うことで、家康の
気持ちを楽にしてやりたいとも
思っていたのだ。

思っていることを、素直に口には
しない天邪鬼な性格だが、その内面に
秘められた優しさは、小さな頃から
弟のように可愛がってきた小夏には
よく分かっていた。

だからこそ、自分への負い目で
一生を決めないで欲しいと言う願いは
今でも変わらない。

もし、誰か他に本当に好きな人が
家康にできたなら、自分は喜んで
背中を押してやりたい。
そう思っていた。
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