第13章 おとぎのくにの 5
なかなか寝付けなくて。
やっと寝れたと思っても夢見が悪くてすぐに目が覚めて。
それを何度も繰り返して、やっと眠ることが出来たのは明け方近かったと思う。
次に目が覚めたら既に日がかなり高く昇っていた。
寝たとは言ってもやっぱり眠りは浅かったみたいで、疲れは全然取れていないし、体も頭も重い。
それでも、今日も講義やらなんやらで予定がびっちり埋まっていたはずだと思い出して。
寝坊したことに焦って飛び起きようとしたけど、すぐに動きを止めた。
私の腕の中でまだカズが眠ってたからだ。
毎朝決まった時間に私を起こしてくれるのはカズで。
いつも早起きなカズの寝顔なんて、ほとんど見たことがない。
そもそも一緒に寝ること自体久しぶりだし。
ちっちゃい頃はよく一緒に寝てたけど、いつの間にか1人で寝ることが当たり前になってたもんね。
真面目なカズが寝坊なんてとても珍しいことだけど、きっとカズもなかなか眠れなかったんだと思う。
今も眉間に皺を寄せて、穏やかとは程遠い顔で眠っている。
少しでも長く休ませてあげたかったけど、カズも眠りが浅かったんだろう。
私がほんの少し身動ぎしただけで、目を覚ましてしまった。
「………サトさま?」
まだぼんやりしているのか、舌足らずな口調で私を呼ぶのが可愛らしい。
「おはよう、カズ」
「………おはよう、ございます」
でもしばらく周りをキョロキョロしていたカズはすぐに状況を把握したのか、サーっと青ざめて。
「も、申し訳ありませんっ!私…なんてこと…」
飛び起きるとその場で深く頭を下げた。